目次
レンダリング
レンダリングとは,3D座標やその点の繋ぎ方,色情報などを持ったPrimitiveを最終的に2Dのピクセルだけの情報に落とし込むことを言います.みなさんの身の回りを想像してください.皆さんがものを見るという状況は
- 対象物
- 光
- 光を捉える目
が存在することで成り立っています.
(さらに厳密に言えば,目は2つあることで,奥行きを捉えることができます.)
あらゆるCG環境ではカメラでモノを撮影するときの状況をシミュレーションします.TouchDesignerでは,図のような構成要素によって,最終的に写真・映像の状態(2Dにピクセルだけの情報)に落とし込みます.
図のそれぞれの要素は表のようになります.
名称 | 概要 |
---|---|
Geometry COMP | 対象物.Primitiveそのものや,Primitiveを使用して作られた情報 |
xxxx MAT | Geometryの表面の質感を決める要素 |
Camera COMP | カメラ.画角や座標,パースありなしなど |
Light COMP | ライト,光 |
Render TOP | レンダリング |
最低限のレンダリング
最低限のレンダリングをするためには,先程の表を以下のように構成します.
COMPについては後の授業で説明しますので,一旦多くの機能を持った箱のような存在というくらいの認識でいてください.
レンダリングしたいSOPのアウトプットから引っ張った状態でTABキーを押してGeometry COMPを作るのがポイントです.
Geometry COMP
Geometry COMPでは,レンダリング可能なPrimitiveを大量複製(インスタンシング)したり,レンダリングに必要なPrimitiveの質感を決めるMATを関連付けたりします.
TransformもGeometry COMP内で可能ですが,紛らわしくなることを防ぐために,Transform SOPのみでTransformさせるようにすることを推奨します.
Camera COMP
Camera COMPはカメラの機能を果たします.通常のデジタル一眼レフカメラでは,
- ISO感度
- 絞り値(F値)
- シャッタースピード
- レンズの焦点距離
などがカメラのボディーやレンズによって異なります.
TouchDeisgnerのCamera COMPでは,一般的なCG環境でのカメラと同じくカメラの設定が行えます.
よく触れそうな箇所は,以下の表の通りです.
パラメータ | 概要 |
---|---|
View > FOV angle |
画角の調整が可能.大きいと広角レンズのように中心が縮んで見え,その周りは伸びて見える |
View > Projection |
パースを排除したい場合はOrthographic |
Xform > Transform |
カメラ位置 |
Xform > Look At |
geo1 や Null COMP を指定して目標に追従させる |
Light COMP
Light COMPは太陽やライトなどの光の機能を果たします.
よく触れそうな箇所は,以下の表の通りです.
パラメータ | 概要 |
---|---|
Xform > Transform |
ライト位置 |
Xform > Look At |
geo1 や Null COMP を指定して目標に追従させる |
Light > Light Color |
ライトの色 |
Light > Dimmer |
ライト強さ |
Light > Light Type |
ライトのタイプ.Point Light か Cone Light をよく使います |
Shadows > Shadow Type |
影のタイプ.Hard, 2D Mapped は境界がはっきりした影Soft, 2D Mapped は境界をボカした影 |
Render TOP
Render TOPはGeometry COMP( + MAT)やCamera COMP,Light COMPの情報を元に,2Dのピクセルへの落とし込みを行ないます.
デフォルトでは
Render > Camera(s)
: cam1Render > Geometry
: *(同じ階層にある全てのGeometry COMP)Render > Lights
: *(同じ階層にある全てのLight COMP)
となっています.
タイミングによって切り替える必要が出た場合は,選んでください.
MAT(質感)
MATはMaterialの略で,Geometry COMPと関連付けて表面の質感を表現します.質感は具体的にはシェーディングと言い,表面に当たった光の反射や陰影の具合をどう計算するか考慮します.
基本的には光に対する拡散反射(Diffuse)と鏡面反射(Specular)の成分をあわせて,面の明るさを決めます.ガラスや水などの表現には透過・屈折(Refraction)の成分も考慮したります.また,表面に環境用の画像を載せることで映り込みを表現したりもします.
TouchDesignerでデフォルトの主要なシェーディング(レンダリングを含む)を以下の表と図に示します.
名称 | 概要 |
---|---|
Constant | 一色でベタ塗り |
Wireframe | 頂点を順序通り結んだ線 |
Phong | フォン.法線ベクトルの補完によってスムーズシェーディング行なう |
PBR | Physically Based Renderingの略.物理的に厳密に計算される |
Point Sprite MAT | point sprite.パーティクルのポイントに画像を貼り付ける |
その他,GLSL(OpenGL Shading Language)という言語をMATとして記述することもでき,ガラスの表現など応用的なことも可能です.
Constant MAT
Constant MATは質感の計算なしにとにかくPrimitiveをベタ塗りします.
フラットなモーショングラフィックスを作りたい場合などはとても有効です.そしてその場合TOPで作る基本図形と大きく異なるのは,3Dの位置関係を生かしたアニメーションができることです.
パラメータ | 概要 |
---|---|
Constant > Color |
塗り色 |
Patatap(https://patatap.com/)はウェブサイトで体験できるオーディオビジュアル作品です.フラットなモーショングラフィックスが特徴的です.
Wireframe MAT
Wireframe MATではPrimitiveの情報通りに線で繋がれます.
敢えて,デジタルな描画として観せたい時などに有効です.
パラメータ | 概要 |
---|---|
Wireframe > Color |
塗り色 |
Wireframe > Line Width |
線の太さ |
Iron manでも敢えてWireframeでデジタルの質感を出して,モデリングされていることを表現しています.
Marvel's Avengers: Age of Ultron UI Reel | Screen Graphics | Territory Studio from Territory Studio on Vimeo.
Phong MAT
Phong MATはスムーズシェーディングの代表例でとても多く使用されています.明確な目的がなければまずPhong MATで作り始めるのが良いかもしれません.
パラメータ | 概要 |
---|---|
Phong > Diffuse |
拡散反射の色 |
Phong > Specular |
鏡面反射の色 |
Phong > Emit |
発光の色 |
Phong > Shiness |
輝き度合い(つまり平滑性)の値 |
PBR MAT
環境マップ
PBR MATはPBRを再現します.PBRがTouchDesigner標準MATの中で最も現実世界に近い質感を出すことができます.Environment Light COMPを併用することで画像から環境光としてライティングします.環境光用の画像はEquirectanglar形式である必要があります.
参照: http://photopin.com/free-photos/equirectangular
さらに,環境光で画像を利用したということは,その画像自体が環境でなければいけません.そのために新たにSphereにConstant MATからColor MAPを割り当てて,テクスチャを貼った大きい球体でカメラを覆うことによって,カメラからは景色が見える状況になります.
PBRのマップパラメータ
さらに,PBRのMAPパラメータにテクスチャマップを割り当てることで,PBRの質感を場所によって詳細に変化させることができます.各用語については表の通りです.
パラメータ | 概要 |
---|---|
Base Color Map | ベースの色(RGB),Diffusion Mapに同じ |
Specular Level Map | 鏡面反射の度合い(GRAY) |
Metallic Map | 金属の度合い(GRAY) |
Roughness Map | 粗さの度合い(GRAY) |
Ambient Occulusion Map | 陰影強調の度合い(GRAY) |
Normal Map | 法線マップ(光の反射レベルで凹凸を表現) |
Height Map | 高さの度合い(GRAY) |
テクスチャマップ参照: https://texturehaven.com/textures/
課題
授業内課題
PBRの環境マップを使って,第3回の課題をレンダリングしなさい
要件
- ファイル名を学籍番号+名前(ローマ字).toe として添付して提出(例: 11111111SeiyaAoki.toe)
- 画像とプロジェクトファイルを同一フォルダに入れて,Zip化して添付すること
締切: 2020年6月5日15:50
提出先: Google Classroom
来週までの課題
今日の内容を使って,自分でモデリングしたSOPをレンダリングし,アニメーションさせなさい.
要件
- ファイル名を学籍番号+名前(ローマ字).toe として添付して提出(例: 11111111SeiyaAoki.toe)
- 画像とプロジェクトファイルを同一フォルダに入れて,Zip化して添付すること
- モデリングする対象は問わないが,第3回の課題でモデリングした題材とは異なるものにすること
- 2つ以上Geometry COMPを使用してMATも2つ以上にすること(例: Phong MATとPBR MAT,PBRを2つなど)
締切: 2020年6月11日23:59
提出先: Google Classroom