プログラミング演習 履修選択向け参考資料

目次

プログラミング

Processingは楽しい?ウンザリ?

2年生になった情デのみなさんは1年生でProcessingを1年間学びました.Processingで培った経験は今後の制作に役立つに違いありません.しかしその中で,Processingが大好きになって,それ以来授業が終わってもコーディングし続けている学生もいれば,苦手意識を持ってしまい敬遠している学生もいると思います.プログラミングへの苦手意識が生まれる理由として以下のような要素が考えられます.

  • うまくエラーが消えなくて進めない
  • コードを書くという行為が感覚的でなく,想像できない
  • 数学的な処理が苦手

少ないコードでプログラムできるように設計されているとはいえ,Processingでプログラムを学ぶことは,手で絵を描くこととは違い感覚的ではない為,一つのハードルとなっていると思います.

なぜプログラム系か?

ではなぜこのようなプログラム系のデザイン・表現が多く使われているのでしょうか.
プログラミング系の環境で作ることのメリットは例えば以下のようなことが上げられます.

  • インタラクティビティを与えられる
    • マウスやキーボードの入力
    • その他デバイス入力
  • リアルタイムな変化を与えられる
    • 音に反応する映像
    • 環境データの可視化
  • 大量の処理を一括で行なえる
    • 円を10000個描く
  • ツール系ソフトウェアではできないオリジナリティを発揮できる
    • 1年次作成の自作の時計

特に何か新しいものや魅力的なものをデザインしたいと考えると,ツールの持っている機能の制限を越えることが重要ですが,
プログラム系の環境は機能そのものから作れるため重宝されています.

TouchDesignerとは?

プログラミング経験がなくてもできる

本授業で扱うTouchDesignerはプログラム系の中でもプログラミングで出くわすハードルを回避しつつ,長所を残した柔軟な設計になっています.
つまりプログラミングが苦手であったり,経験がなくても,感覚的にプログラミングしていくことが可能です.

まずはこのProcessingとTouchDesignerの比較動画を御覧ください.

Processingとの比較

円を描いて円状の軌跡で動かす

マウスクリックで動画を再生する

以上はあくまで例ですが,Processingに対してTouchDesignerは

  • 短時間で作成できる
  • テキストのタイピングが少なくクリックやドラッグ&ドロップが主の操作
  • 即時反映のため値や動画の絵が常に確認できる

ということがわかります.

特徴

TouchDesignerは一般的なプログラミング環境と異なり,機能を持ったボックスを視覚的に繋げていく(パッチング)ことでプログラムを構築するビジュアルプログラミング環境です.
また,即時実行されるため,考えたことを高速に形にすることができ,制作初期段階のプロトタイピングや終盤の微調整にも向いています.

よって,特にビジュアルデザイン・アート領域において,個人のデザイナー,アーティストから,大規模なプロダクションチームにまで広く利用されています.

事例

ライブ演出

BABYMETAL MV: Elevator Girl / Shanti Shanti Shanti

BABYMETALのミュージックビデオ.このMVでは,ライブの演出としてTouchDesignerを使用してライブカメラにエフェクトがかけられており,MVにもその一部が使われています.
詳細: https://backspace.tokyo/works/babymetal-elevatorgirl-shantishantishanti/

“millennium parade” Launch Party

インタビュー動画の一部に出てくる3D映像のライブ演出もTouchDesignerによって作られています.

詳細: https://backspace.tokyo/works/millennium-parade-launch-party/

ライブパフォーマンス

Ai.step live at nine tomorrows

Ai.step(Kakuya Shiraishi + Scott Allen)によるパフォーマンスのダイジェスト.visualパートはTouchDesignerによって作られています.

インスタレーション

nor / dyebirth

TouchDesignerを使用して装置の制御を行なったインスタレーションです.
映像分野に限らず,物理的に動くものの制御なども可能です.
詳細: https://nor.tokyo/dyebirth

コミュニティ

近年Mac版がリリースされたこともあり,日本でも盛り上がりを見せ,MUTEK.JPやTDSWなど様々な場所でワークショップも行われるなど,活発に意見交換されています.

情デでデザイナとしてTouchDesignerを使う

デザイナとしてTouchDesignerを使用するということは,デザインとプログラミングの両方の知識やスキルを統合したり相互について考えながら作るというプロセスを意味します.
アイデアを着想し,プロトタイピングや検証,そして微調整などを反復的に繰り返す創造プロセスを,実際の制作を通じて学んでいきましょう.
そして最終的には,1年次よりも高度なプログラミング表現もきっと可能になるはずです.

授業計画

第1週
・イントロダクション
・ProcessingからTouchDesignerへ
・図形・映像の生成

第2週
・数値
・乱数やノイズ
・計算
・インタラクションデザイン

第3週
・3D
・レンダリング

第4週
・テキスト
・タイポグラフィ
・データ

第5週
・インスタンシング
・データビジュアライゼーション

第6週
・最終課題に向けて
・リアルタイム画像処理

第7週
・UI
・パラメトリックデザイン
・階層構造

第8週
・体験のデザイン
・時間軸のデザイン

第9週
・様々なデバイスとの連携

第10週
・python
・外部ライブラリ
・課題制作

第11週
・課題制作

第12週
・課題制作

第13週
・講評

参考の参考

2019年1月に2日間で情デで行なったワークショップの資料も添付しますので,参考にしてください.
https://scottallen.ws/lecture/rapid-proto-workshop