目次
イントロ
本授業はエルキフータムが提唱した,淘汰されてしまった過去のメディアを再考察することで新しい現在のメディアへの理解を深める「メディア考古学」をベースに制作していきます.
まずはその考えをもとに,視覚メディアについて深掘りする.
そして淘汰されたメディア,デッドメディアやロストメディアなどと言われますが,それらが潜在的に持っている表現の可能性を探っていく. ということを実践を通して学んでいきます.
例えば視覚装置の進化の図の青い線を見ると,現在はLEDモニタやビデオプロジェクタが主流ですが,そこに行き着くまでに色んなメディアが発明され淘汰されてきました.
今回はこの緑の線で表される淘汰された側のメディアに着目し,現代のテクノロジーなどを使用して止まった枝葉を伸ばしたり,新しく分岐させたりすることで,新しい表現を目指します.
授業計画
- メディア考古学導入,カメラの考古学(カメラ・オブスキュラ)
- 動画装置の考古学 前編(パラパラ漫画,スキャニメーション)
- 動画装置の考古学 後編(ゾートロープ)
- 投影装置の考古学(幻灯機,ファンタスマゴリア,影絵)
- 表示装置の考古学(ブラウン管テレビ,液晶モニタ,ビデオプロジェクター)
- 制作+面談
- 制作+面談
- 講評
授業では,現在のテクノロジーとの融合のため,プログラミングや電子工作,デジタルファブリケーションなど多岐にわたる技術を視覚装置と組み合わせていきます.そこには全く新しい表現が隠れているかもしれません.
Dead mediaの紹介
過去に使われていたけれども,なんらかの理由で淘汰されてしまったメディアのことをDead mediaあるいはLost mediaなどと言ったります.
事前課題でみなさんにとってのDead mediaについて考えてもらいました.
- 自己紹介
- この授業を履修した理由
- Dead mediaについて紹介
を一人ずつしていきます.
カメラの考古学
今カメラというと,それはデジタル一眼レフカメラやスマートフォンに付属のカメラを指すことが大半かもしれません.それらは基本的にはイメージセンサというセンサがカメラに内蔵されていることで,周りの光の情報を数値へと変換し,その数値を記録しています.詳しくは画像工学で習うことかと思いますが,RAWやJPG,PNGなどはすべて数値情報であるということを認識しておくと良いでしょう.
しかし,カメラの起源はかなりプリミティブです.
カメラ・オブスキュラ
カメラ・オブスキュラとは図のように箱型の光の届かない空間にピンホールをあけることで外の像が映し出される部屋のことを言います.この仕組自体は紀元前から知られていましたが,これを利用した装置がカメラの始まりです.
この装置は画家が絵をトレースする目的で15世紀に流行します.
その後レンズにより集光し,鮮明な像をえる試みなどが行われていきます.
さらに19世紀には,光が当たると変色する銀の塩化物の性質に着目したジョセフ・ニセフォール・ニエプスが銀板写真法を考案し,最終的にルイ・ジャック・マンデ・ダゲールが完成させました.
当時現実をそのまま写し取る銀板写真が出現したことにより,「絵画は死んだ」とまで言わしめたようです.
その後,焼き増しが可能なネガ/ポジ方式が登場し,写真が当たり前に複製可能になっていきます.
カメラ・オブスキュラを部屋に作る
今回はカメラ・オブスキュラを扱うことで,光と写真の原理に思いを巡らせてみます.
カメラ・オブスキュラは部屋を真っ暗にし,どこか1箇所に小さい穴をあけるだけで完成します.
今回は,アゴラホールのコントロールルームにカメラ・オブスキュラを作りました.
まずはそちらを見に行きます.
カメラ・オブスキュラで写真を撮る
動画を参考にカメラ・オブスキュラを制作します.
まずはスクリーンに映し出される絵を確認し,その後感光紙を使って写真を撮影します.
課題
授業内課題
カメラ・オブスキュラで景色をスクリーンに写し,スマホでその様子を撮影してアップロードしなさい
締切: 2022年12月6日16:00
提出先: Google Classroom
来週までの課題
カメラ・オブスキュラで感光紙写真を撮影し,それをスマホで撮影しアップロードしなさい.
※12月13日の授業の最初に簡単な紹介をしてもらいますので,10月11日は現物持参すること
締切: 2022年12月12日23:59
提出先: Google Classroom